理系の大学院生が就職留年を選ぶメリットと注意点

理系の大学院生の就職留年就活対策の方法とうまくいかないときの対処法
  • 「理系専攻で大学院まで進学したのに就活が思うようにいかない…」
  • 「就職留年を考えているけど、企業からの印象ダウンにつながるのではないか…」
  • 「学費の面で親に迷惑をかけてしまうのではないか…」

そんな悩みを抱えている大学院生は少なくないと思います。ですが、必要以上に案ずる必要はありません。

なぜなら今回の記事で就職留年のメリット、博士進学、面接でのNGな回答例などについてまとめているためです。

就職留年を考えているけど具体的に何をすればいいのか分からない。漠然と不安ばかり抱えてしまう。そんな方に参考になる記事となっておりますので、ぜひ最後まで読み進めていただければと思います。

理系の大学院生が就職留年をするメリット

メリットについて
当然メリットがなければ就職留年する意味がありません。

自分でメリットをしっかりと認識し、これらを生かして正しい1年を過ごすことができれば、2回目の就活の成功率は大きく上がります。

以下で紹介する項目をしっかりと押さえておきましょう。

新卒カードが残る

まず、留年期間は大学に籍があるため、新卒枠で就職に取り組むことが出来ます。しかし、一旦大学を卒業してしまうと既卒扱いとなってしまい、新卒と同条件の環境で就職をすることが出来ません。

そもそも企業は「企業文化を受け入れやすい」、「人材育成期間が十分に取れる」などの理由で新卒を重宝する傾向にあります。

つまり新卒枠で就活が出来るということは、既卒と比べ、上記のような大きなアドバンテージを生かせるというメリットがあるのです。

じっくり腰を据えて就活に取り組める

多忙な大学院での研究と就活を両立させるのはなかなか難しいことだと思います。

しかし、就職留年で生まれる1年という期間を使えば、就職に向けての準備をより万全なものにすることが出来るのです。

そこで自己分析や企業研究、加えてOB訪問などに注力することが出来れば面接の通過率も当然上がってきますし、また自分に合った企業を再考するきっかけにもなります。

以上より、大学院での研究に気を取られずに就活のことだけを考えられるという点で、こちらもメリットの1つであると言えます。

レベルアップして志望した企業に再チャレンジできる

もしあなたが自分のレベル不足を少なからず感じているのなら、就活留年は大きなチャンスとなり得ます。

なぜなら、1年という期間を自分磨きに使うことが出来るからです。例えば、

  • TOEICの点数を上げたる
  • 企業インターンで経験を積む
  • 個人でスマホアプリを開発してみる

といったように時間の使い方は様々です。

他の新卒就活生とスキルや経験で差を付けることが出来れば、一度落とされてしまった企業にも十分再チャレンジできることでしょう。

逆にデメリットはあるのか?

デメリットはあるのか?
就職留年はメリットだけではありません。就活においての今後の正しい選択のためにも、あらかじめどのようなデメリットがあるのかを押さえておくことは大切です。

1年分の学費がかかる

留年すると1年分の学費が余計にかかってしまいます。

理系大学院の1年間の学費は通う大学次第ですが、相場としては国立大学院で50万円程度、私立大学院ではなんと100万円程。

就職留年をすると当然、留年した期間の学費がかかりますので50万円~100万円の学費の支払いが求められます。

大学院の学費は安くない以上、1年分学費が余計にかかってしまうことはデメリットの一つであると言えます。

卒業が遅れるので生涯年収が減る

卒業が遅れると社会人としての年数が減るため、その分生涯年収は減ってしまいます。では実際にどのくらい減るのでしょうか?

実は1千万円近く減ることもあります。今取り上げた1千万円という数字の論拠は大卒男子の生涯年収にあります。

実は独立行政法人労働政策・研究機構の2017の調査資料「ユースフル労働総計2017」のP304によると、従業員が1,000人以上の会社に勤めている大卒男子の生涯年収は3億8千万円でした。

生涯年収は大学卒業から60歳までの期間で算出されておりました。つまり、23歳から社会に出たと考えると38年間の勤務歴で3億8千万円を稼いだことになります。

38年の勤務で3億8千万円である以上、1,000人以上の会社で勤務している大卒男子は1年で平均すると1,000万円稼いでいることになります。

当然、就職留年により、社会に出る時期が1年遅れれば60歳まで働ける期間が1年減りますよね。1年の価値が1,000万円のケースでは生涯年収で1,000万円損をします。

1年の就職留年によって生涯年収がどの程度減るかはその人が務める企業の生涯年収次第で変わるのは事実ですが、1,000万円も生涯年収が減るケースもある、という点はご理解ください。

1回目の就活よりエントリー落ちが増える

企業の採用担当者も大勢の入社希望者から数を絞って面接しなければならないため、現役新卒者との差別化が図れていなければエントリーシートの段階で落とされてしまう可能性が高まります。

なぜなら「なにか決定的な要因があって1年目で内定がもらえなかったのではないか…」などと、採用担当者に勘繰られてしまうことがあるからです。

このように、不本意にもリスクを感じられてしまい面接までたどり着けないというケースも存在します。

企業は院生の就職留年をどう評価するのか?

人事はどのように評価するのか?
企業は院生の就職留年をどう評価するのか、不安に思う方も多いはずです。

以下に紹介する項目を前もって考慮していればES作成時や面接対策にきっと役立つはずなので、前向きな気持ちでしっかりと押さえておきましょう。

原則として留年は大なり小なりマイナスに評価される

当たり前といえば当たり前なのですが、ストレートで卒業できなかった以上、企業からはマイナスのイメージを持たれます。

よくあるケースとしては、「留年は君の怠慢ではないだろうか」、「1年目の就活で内定がもらえなかった決定的な要因があるのではないか」といった形です。

いずれにせよ、留年という事実に関しては大なり小なりマイナスイメージを持たれてしまうことになります。

留年がマイナスに評価される事実をまずは直視することは欠かせません。その上で正しいES・面接対策をし、マイナスを少しでも挽回することが重要となってきます。

年齢を理由に採用を見送る企業もゼロではない

院生で留年すると社会人1年目が最短でも25歳、浪人などを含めると20代後半での就職となります。

院生が留年をする学部卒の現役新卒者(22歳)と比べて、3年以上の年齢差が発生します。企業は新卒採用では若い人材を求める以上、年齢を理由に採用を見送られてしまう可能性は少なからずあると言えます。

ここでもやはり、他の就活生との差別化を図れるかどうかが成功のカギとなってきます。

1年の過ごし方によってはポジティブな評価に変わることもある

採用担当者も、あなたが正しい動機や意志をもって留年したということを知っていれば、頭ごなしに落としたりするようなことはしません。

つまり、あなたが留年を選んだ目的をしっかりとES・面接で説明できるようにする必要があるのです。

心がけたいのは「自分自身のステップアップのため」、「どうしてもやり遂げたいことがあった」等のような理由を明確にすることです。

明確な理由があり、理由に基づく確かな行動や成長をアピール出来るのであれば、あなたの就職留年はむしろ強みにもなり得ます。

就職留年を決めた後にやるべき事とは?

就職留年後にやる事
就職留年を決断したものの、何から手を付ければいいのか分からないという方向けに、就活留年の1年間でやるべき項目をまとめました。

長いようで短い1年という期間を無駄なく使えるように、ぜひ参考にしてみてください。

来年の就活までに何かしらの実績を作る

先ほども説明したように、留年期間で何か実績を作ることが出来れば、就職留年によるマイナスイメージの払拭が可能です。それに他の就活生との差別化を図ることすら出来ます。

逆に言えば実績もなしに再度就活をしたとしても、1年目と同じ失敗の道を歩むこととなってしまうのです。2度目の就活で評価される実績の一例としては、

  • TOEICで高得点を獲得する
  • インターン先で優秀な結果を残す
  • 資格を取得する

などがあります。留年期間でどれだけスキルアップできたかを企業にアピールできるようにしておきましょう。

WEBテストやSPIは9割を超えるようにする

企業は、院生に学力の高さも求めています。これは学部卒や現役新卒との年齢差というハンディキャップを埋めるためにも、当然の要求といえるのです。

しかし2回目の就活でもスコアが低いようでは、悪い印象を持たれてしまい採用を見送られてしまう可能性があります。そのため、WEBテストやSPIで高得点を取りたいですね。

ちなみにWEBテストやSPIは対策をすることで確実に点数を伸ばすことが出来ます。今現在高得点が出せていなくても悲観せず、1年間しっかりと対策をして、企業によい印象を与えられるよう努力しましょう。

忙しいを言い訳にせずに企業研究やOB訪問に力を入れる

これまで挙げたような活動を熱心に行っていれば忙しいのは当然です。しかし、だからといって企業研究やOB訪問を怠ってはいけません。

企業研究やOB訪問は、自分に合う企業を再考するきっかけにもなりますし、面接にてあなたの熱意を存分に伝える材料にもなります。

あなたの就活においての盤石な基盤を築くためにも、これらは必須事項といえるでしょう。

面接で留年の理由を聞かれた時の対処法

面接で留年を聞かれた時の対応方法
2年目の就活での面接では、ほぼ確実に留年の理由を聞かれることとなるでしょう。

これまでにも説明したように、あなたの返答次第で印象はプラスにもマイナスにも変化します。

これから、面接でのNGな回答例と、理想の受け答えについて紹介していくので、面接対策に役立てていただけたらと思います。

NGな解答例①「嘘をつく」

相手は何千人もの入社希望者との面接を経験しています。安易な嘘は通用しません。入念に準備した嘘でも面接官の質問攻めにあい、ボロが出てしまうことがほとんどです。

面接官に安易な嘘をついて噓がばれると明らかに評価が下がります。それに仮に内定が出たとしても嘘が発覚すると経歴詐称、という形で内定取り消しになる恐れもあります。

NGな解答例②「馬鹿正直に内定が出なかったことを話す」

面接官はあなたの留年の動機や志を踏まえて、安易な留年でなかったことを判断します。
しかし、馬鹿正直に内定が出なかったと伝えてしまうと、留年がそのままマイナスイメージとして受け取られてしまいます。

基本的に1社も内定が出なかった学生の事を採用する企業はダメな学生と見ます。そこで、内定が出なかったとしても馬鹿正直に「1社も内定が出なかったので留年をした」ということは言わないのが無難。

NGな解答例③「留年の目的があいまい」

留年の目的を明確に伝えることが出来ないと、「本当は自分の怠慢で留年したのではないか」などと面接官に不信感を与えてしまうことになりかねません。

そのためしっかりと目的と成果を明確にし、説明できるようになっておくことが大切です。

理想は1年の成長と併せて正直に経緯を話す。

就活留年した経緯については正直に話すことが得策ですが、自身の成長と併せて話すことが重要です。例えば、

  • 「研究が忙しくて就活に身が入らず就職留年を選んだが、その研究を踏まえ、この1年で○○のような成果を生むことが出来た。」
  • 「1年目の就活で自身のレベル不足を感じたため、スキルアップのために就職留年をした。結果、〇〇や〇〇といった形で成長につなげることが出来た。」

といったように、自身の反省を踏まえ、如何にして成長したかを伝えることが出来れば、面接官もあなたの向上心を評価してくれることでしょう。

卒業して就職浪人するのと留年ではどちらが良いのか?

就職留年を考えている大学院生の中には一度大学を卒業して就職活動をすることを考える人もいます。

一般的には大学を卒業して就職活動に取り組むことは就職浪人と言います。この就職浪人と大学に籍を残して2度目の就活に取り組む就職留年とではどちらが2度目の就活で有利になるのでしょうか?

断然留年である

大学に在籍しているということは、新卒という大きなアドバンテージを得られるだけでなく、大学の就活サポートを受けることが出来ます。

具体的には個別相談を受けられたり、企業ガイダンスの案内があったりと、少しでも多くの情報が必要な就活生にとって強い味方となってくれます。

また、大学施設や大学独自の求人・推薦を利用できるといったメリットも持ち合わせているのです。

これらの恩恵が十分に受けられるという点で、就職浪人よりも、断然留年をおすすめします。

院卒の就職浪人は本当に厳しい

やはり日本では新卒一括採用が主流。これが一番大きな理由です。

実際に既卒の就職率は5割を下回るとも言われています。

そもそも既卒の募集を行っていない企業も存在しますし、社会人経験がない以上、第二新卒にも劣ってしまうというデメリットもあります。

それだけでなく、大学のサポートが受けられないため個人で就活を頑張らないといけなくなります。得られる情報も少なくなってしまいますし、精神的な面でも苦しい状況になってしまうのではないでしょうか。

このように就活浪人という選択肢を取ってしまうと、相当に厳しい戦いとなってしまうのです。就職浪人と就職留年のについては以下のページでより詳しくまとめているので是非ご覧ください。
浪人と留年の決定的な違いとは?

就職に失敗して博士課程に進むのはありか?

博士課程への進学
「就職に失敗してしまったので博士課程でレベルアップをしよう」そう考える院生も少なくないはずです。

博士課程への進学はおすすめできない

ではなぜ博士課程進学はオススメできないのか、これを就職という観点※から解説していきます。(※学者を目指すならこの限りではない)

まず、就職時の年齢が30歳近くなってしまうことがデメリットとして挙げられます。

企業が新卒一括採用で若手社員を育成したい中、社会人経験もなく、学部卒と比べ5~6年多く年を取っているのは年齢面で不利です。

仮に博士課程で培ったスキルがあったとしても企業側は採用することに躊躇します。

金銭的な負担も小さくない

博士課程の単位取得満期退学でも最低3年、博士号を獲得するまで在籍するとなると何年大学に籍を置くのか見当もつきません。

そんな状況でも学費は年50~100万円支払わなければならず、加えて生涯年収もごっそり減ってしまうのです。

これは、企業に就職をするという面で考えれば割に合わない選択だと言えるのではないでしょうか。

これらの理由により、博士課程はあまりオススメできるものではないのです。

このページのまとめ

まとめ
就職留年のメリット・デメリット、その他の選択の厳しさについてはご理解いただけたでしょうか?

最後に、就職留年について特に押さえておきたいポイントを以下にまとめましたのでご覧ください。

  • なんといっても就活留年は新卒扱いとなる
  • 大学の就活サポートも活用出来る
  • 就活留年中の1年で何かしらの成果を上げる
  • 自己分析・企業研究をしっかり行い、自分に合った就職先を選定する
  • 就職浪人・博士課程進学はオススメしない

いかがでしょう?

どのような1年を過ごせばいいのか、あなたももう分かったはずです。

留年と聞くとマイナスなイメージを持たれがちだと思いますが、重要なのは就職留年の目的を明確にし、自身の1年間の成長を面接できちんとアピールすることです。

1年目で内定が出なかったことを悲観せず、次につなげるための第一歩を今すぐにでも踏み出しましょう。なお、就職留年を成功させる鍵については以下のページでまとめているので是非ご覧ください。

2度目の就職活動を成功させる鍵

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