どこからも内定が貰えなかった方や納得できないまま就活を終えたくないという方にとって、就職留年は1つの選択肢です。
しかし、ただ闇雲に1年の時間の猶予を得たところで、次の年に上手くいくというものではありません。
この記事では就職留年を考えているあなたのために、就職留年のやり方や失敗と成功を分けるポイント、不利にならない留年理由について解説していきます。
就職留年とは
ネットなどで就職留年というワードを調べると、必ずと言っていいほど「就職浪人」というワードも出てきます。
この2つは似て非なるものですので、今年の就職が上手くいかず今後どうするか悩んでいる方は、両者の違いをまずはきちんと把握しておきましょう。
就職留年とは大学を留年して、学生として再度就活にチャレンジすることです。この場合は次の年も新卒扱いになります。
一方、就職浪人とは大学を卒業して再度就活にチャレンジすることを指します。この場合は既卒者扱いになるのがポイントです。
新卒扱いの方が選択肢の幅も広く就職活動もしやすいので、特にこだわりがないなら就職留年の方をおすすめします。
就職留年する就活生の割合
大学の公表する就職率からは就職留年生は除外されているので、表向きの就職率は90%超の場合がほとんどです。
しかし、キャリアセンターに勤めている方の話によると、その大学では、実際には3人に1人は留年しているそうです。
その中には留学や単位不足が理由で留年した人も含まれていますが、実際には多くの学生が就職留年していることが分かります。
メリットとデメリット
もう一度新卒として就職活動にチャレンジできるという点で、就職留年はとても魅力的な選択に映るかもしれませんが、良いことばかりではありません。
ここでは就職留年をすることのメリットとデメリットを説明していきます。
この内容を踏まえた上で、今一度、本当に就職留年をすべきなのか、どのように今後の就活を進めていくべきなのか考えてみてください。
経験と情報量で優位に立てる
就職留年の最大のメリットは一度就活した経験をそのまま活かせることにあります。
自己分析や企業分析がある程度できていれば、その分、SPIや面接などの選考対策に時間を割くことができます。
また、グループディスカッションや面接の段取りも分かっているので、必要以上に緊張することなく臨めるというメリットもあります。
1度目の就活で何が自分に不足していたのかを分析し、これまでの知識や情報を活かしながらそれを補うように効率良く就活を進めていくことが大切です。
休学費用や学費が余分にかかる
就職留年の大きなデメリットはコストがかかることです。
理由はどうであれ、留年をする以上、学費や休学費が必然的にかかります。
大学にもよりますが、学費や休学費は簡単に払えるような額ではありませんし、就職留年をしたからといって必ず就活が上手くいくという確約はありません。
お金の問題となると自分1人でどうにかできることではなくなってくるので、その辺りは事前に保護者の方に相談しておきましょう。
また、就職留年するとその間に同級生は卒業してしまうので、孤独な戦いが強いられます。
一緒に就活をする友達がいなくなるというのもデメリットの1つとして覚えておいてください。
就職留年が不利になるかは理由による
就職留年はその理由によって採用担当者からの印象が大きく変わるので注意が必要です。
世間一般としては留年はあまり良いイメージを与えませんが、採用試験においては就職留年するに値する明確な理由や目的があれば留年自体が不利になることはありません。
そのため、面接では本音と建前を上手く使い分け、相手が納得できるような説明を準備しておく必要がありますが、就職留年の理由はとても重要な要素です。
「とりあえず受からなかったから留年しよう」といった軽い気持ちで就活留年を決めてしまうと、後々自分が苦しむことになります。
マイナス評価になる理由
基本的に「~できなかったから」のような後ろ向きな理由は採用担当者に不信感を与えてしまいます。
- 単位が足りずに留年してしまった
- どこからも内定が貰えなかった
このような理由の場合は完全にマイナス評価になってしまうので、妥当な理由を考える必要があります。
特にマイナスにならない理由
一方で、何か頑張りたいことや成し遂げたいことがあって留年した場合はマイナスになることはありません。
理由によっては物事を一生懸命にやり遂げることができる人としてむしろ評価が高くなることもあります。
マイナスにならない理由としては以下のものが挙げられます。
- 留学をしていた
- 部活・研究に力を注いだ
このように、誰もが納得する理由があれば不利になることはありません。
「失敗したから」ではなく「成し遂げたいことがあったから」という前向きな理由を話せるようにしておきましょう。
就職留年に寛容な業界と不利な業界
就職留年に対して寛容かどうかは業界によって若干の差異がありますが、実際にはどの業界でも人事担当者は留年をさほどネガティブなものとしては見ていません。
ただし、前述の通り、ネガティブな印象を与えないのは正当な理由がある場合だけなので、留年理由の正当性は就職留年をする上で重要なポイントになります。
なお、公務員試験を受ける場合は年齢制限があるので、その点だけは注意しましょう。
同じ企業を受けることはできるのか?
就職留年を希望する理由として、「どうしても行きたい業界や企業があるからもう1度挑戦したい」というものがあります。
リベンジしたいという気持ちは分かりますが、このケースは現実的に厳しいというのが正直なところです。
その業界の企業全てから落とされたということはそれなりの理由がありますし、企業は選考データを持っているので、落ちた要因を取り払えなければ同じ結果で終わってしまいます。
また、「最終面接まで進んだけれどダメだった。惜しいところにいるはずだからもう少し頑張れば受かるはず。」と考える人がいますが、これは大きな間違いです。
最終面接まで進んで落ちたということは、それまでに何回もジャッジし最後に慎重に見極めた上でそれでもダメだったということです。
最終面接となると能力だけではなく企業とのマッチングを測るという側面も強いので、最終面接まで行ってダメだったなら「単に自分とは合わなかった」と割り切って考えた方が賢明です。
逆にESや一次面接で落ちた場合は準備不足が原因という場合が多いので、もう1度チャレンジしてみる価値はあるかもしれません。
単位が足りている場合の就職留年のやり方
就職留年をしたいが大学の単位はしっかり取ってしまっている……
そのような場合でもやり方次第で就職留年できる方法はありますので、こちらで紹介します。
留年の制度や学費などについては自分でしっかり調べておきましょう。
ゼミの先生に頼んで単位を落としてもらう
この方法は一番取り掛かりやすい方法かと思います。
ゼミの先生なら話しやすいでしょうし、あなたの事情もある程度は汲み取ってくれるはずです。
色々とアドバイスをしてもらえる場合もあるので、まずはゼミの教授に相談してみるとよいでしょう。
私の友人が就職留年する際は、ゼミの教授と相談したところ、「来年もゼミに参加していいよー」と言ってもらえたと話していましたよ。
学部事務所に掛け合って留年を認めてもらう
留年をするもう1つの方法として学部事務所に掛け合うという方法があります。
大学によっては就職による留年は認めていない場合もあるので、その際は身体的な不調(うつなど)を理由に休学を申請するといった方法が考えられます。
また、休学扱いだとその間の学費が免除される場合もありますので、その辺りも事務所に確認しておくと少ない負担で就職留年できるかもしれません。
失敗して後悔しないための3つのコツ
ここからは実際に就職留年をする上で失敗しないためのコツを紹介します。
就活は準備が9割ですので、内定を勝ち取るためには万全な準備が必要になります。
留年した分、時間は豊富にあると思いますので、いかに戦略的に必要な対策を取ることができるかが重要になってきます。
①OB・OG訪問を積極的に行う
1つ目のコツとしてはOB・OG訪問を積極的に行うということが挙げられます。
授業やサークルがあると日程調整をするのも一苦労ですが、留年中は時間がありますのでOB・OG訪問をするのには打って付けです。
OB・OG訪問は志望動機など面接のネタ作りに大いに役立ちますので、空いた時間があれば積極的に取り組んでください。
また、先に社会人になった友人のツテから話を聞ける場合もありますので、そのような友人に声をかけてみるのもよいでしょう。
②倍率の低い企業から受けていく
1年間の準備期間があるからと言って大手企業や人気企業、本命企業だけに絞って受けるのは危険です。
いきなり大手企業を受けるのではなく、まずは採用倍率が比較的低い中小企業やベンチャー企業の採用試験を受けましょう。
そこが受かったら次は中堅どころ、最後に大手企業というように愚直にステップアップしていくことをおすすめします。
小さな会社でも内定がもらえると自分に自信がつきますし、安心材料にもなります。
数を重ねることで面接の傾向も掴めますし、対応の仕方もどんどん磨かれていきますので、練習のつもりでコツコツと選考を重ねていきましょう。
③インターンシップや早期選考を活用する
授業やサークルに縛られないということはインターンシップや早期選考も最大限に活用できるということです。
解禁を待つのではなく、志望する業界の選考やインターン参加によって優遇ルートがある企業の選考は積極的に受けておきましょう。
インターンは企業研究や本選考の助けになるだけでなく、早期選考に進むことができればより有利に就活を進めることができます。
6月には夏インターンの選考が始まりますので、まずはそこに焦点を絞って対策を進めていきましょう。
有意義な過ごし方が成功を引き寄せる
新卒で入社する企業は今後のキャリアに最も大きく影響を与えますので、もう少し就活を続けるか、それとも就職留年を選ぶのかは慎重に考える必要があります。
その上で、どうしても納得のいく企業に入りたいと思うならば、長い人生の中で1年余分に就活をするのは選択肢として十分にアリだと思います。
ただし、ただ1年という時間を得るだけでは意味がありません。
就職留年をすると決めたならば、これまでの自身の就活のやり方を反省し、早めに対策に動き出すことが大切です。
自分自身が納得できるよう、しっかり考えて悔いのない選択をしてください!
※就職留年中はメンタルを保つのがとても難しいですが、メンタルを保つための方法については以下の記事にまとめているので、是非ご覧ください。