「就職浪人」とは、就職活動に再度チャレンジしたいと思ったときの1つの選択肢のことです。
最近のZ世代の学生の中には、大学4年生の6月に入っても内定が出ない場合、一旦就活を中断し、卒業してから就職活動を再開する人は少なくないので、就職浪人は珍しい選択ではありません。
しかし生半可な気持ちで就職浪人をすることは、あなた自身を余計に苦しめることになってしまいます。
そこで、この記事では就職留年と就職浪人の違いを踏まえた上で、就職浪人して就活を進めるときのポイントや面接での上手な対応の仕方とは何なのかについて解説していきます。
ぜひ自分の今後について考えるきっかけにしてくださいね。
「就職浪人」とは?
まず就職浪人とは何か。それは、「何かしらの原因で新卒で就職が出来ず、就職を1年先送りにする」ということです。
「内定を1つももらえなかった…」「どうしても第一志望の企業を諦められない…」など様々な理由により、就職浪人という選択肢を選ぶことは誰にでもあり得ます。
そこで、このセクションでは就職浪人の基本的な概要や、就職浪人のメリットデメリットなどを知っていただく上で必要な前提事項を解説していきます。
ぜひ最後までお付き合いいただければと思います。
就職留年との違いとは
就職浪人と似たような言葉に「就職留年」というものがあります。
この記事を読まれているということは就職浪人を考えられていることだと思いますが、就職留年についても正しく知った上でどちらを選ぶのが最適なのかをもう1度考えてみてください。
簡単にそれぞれについて説明すると以下のようになります。
- 就職浪人…就職せずに卒業し、そこから再度就職にチャレンジすること
- 就職留年…就職を理由に留年し、大学に籍を置いたまま再度就活すること
ポイントとなるのは卒業するか、卒業しないかという違いです。
就職留年の場合、大学を留年するためには学費などのお金が必要になってくるので、経済的な問題もクリアする必要があります。
大前提として就職浪人の印象は良くない
そして当然と言えば当然ですが、就職浪人の印象は一般にあまり良くありません。
なぜなら、「何か問題があるのではないか…」「自身の怠慢が原因なのではないか…」と就活1年目で就職できなかった理由を面接官に勘繰られてしまうことになるからです。
それだけでなく、ストレートで卒業した新卒の就活生と比べられてしまうことも、相対的に印象が低くなってしまう原因になります。
企業目線でも、同程度の能力であれば、育成期間を十分に取れる若い新卒の方を優先して採用します。
このような点で、就職浪人をした就活生はマイナスイメージを持たれた状態からのスタートとなってしまうわけです。
正当な理由があればある程度は大目に見てもらえる
先ほど説明したように、就職浪人や就職留年は世間一般的にあまり良いものではありません。
しかし、就職浪人や就職留年するのが止むを得ないと判断される理由がある場合は、ある程度大目に見てもらえることもあります。
例としては以下が挙げられます。
- 留学をしていた
- 家庭・経済的な理由で休学を余儀なくされた
- 部活・研究に熱中していた
一方で「どの企業からも内定が貰えなかった」などの理由で就職浪人・就職留年したと伝えた場合は相手に不信感を与えてしまうので、説明の仕方をよく考えなければいけません。
有意義な就職浪人期間を過ごし、本音と建前を上手く使い分けながらきちんとした理由を伝えられるように準備しておきましょう。
就職浪人する人の割合
厚生労働省・文部科学省が発表した令和3年度大学等卒業者の就職状況調査によれば、2021年4月1日時点の大学卒業者の就職率は96.0%でした。
このデータだけを見ると「就職できないのは自分だけなんじゃないか」と思うかもしれませんが、必要以上に落ち込んだり不安になったりする必要はありません。
文部科学省による平成30年度学校基本調査では、大学学部卒業者における「進学も就職もしていない者」は39,854人と全体の7.0%を占めており、就職浪人をする学生は一定数いることが分かります。
これは当該年度に限ったことではなく、29年度の調査でも「進学も就職もしていない者」は7.8%なので、毎年少なからず就職浪人・就職留年をしている人はいるということです。
就職浪人のメリットとは?
就職浪人は、もう1度就活に挑戦できるというという意味では大きなチャンスにもなり得ます。
そこで、ここでは就職浪人のメリットを3つ紹介いたします。
大事な2度目の就活に全力で臨めるよう、メリットとなる点は意識して活用するようにしましょう。
しっかりと漏らさずチェックしておくことをおすすめします。
1年目の反省を生かせる
「自己分析や企業研究が浅く、ESがお粗末なものだった」
「面接やグループディスカッションが苦手で、他の就活生に後れを取ってしまった」
「そもそも就活の準備が遅くて出遅れてしまった」
このような反省点が、1年目の就活でたくさん見つかったことと思います。
そんなとき、就職浪人のメリットとして間違いなく言えることは、反省点を克服できるということです。
新卒就活生が陥ってしまいがちな就活の難所を、就活を1度経験した就職浪人生であれば回避することが容易になるのです。
新卒就活生に差を付けられるよう、1年目の反省を元に自分自身をブラッシュアップすることが大切です。
対策次第では大手企業も目指せる
来年度の就活の準備をする時間はたくさんあるので、就職浪人期間の過ごし方次第では大逆転できることもあります。
そもそも技術が重視される業界や公務員などの、就職浪人や就職留年がさほど不利にならない業界・職種を中心に選考を受ければ、優良企業に内定することは十分に可能です。
また就職浪人の期間でTOEICスコアを上げたり、資格を取得したりすれば、他の大手企業内定にもグッと近づくことでしょう。
それだけでなく、就職浪人した理由が正当なものであったことや就職浪人を通して自分が成長したことなどを上手に面接官に説明することが出来れば、一層目を引くことが出来るようにもなります。
浪人期間でしっかりと成長することが出来れば、大手企業内定も夢ではありません。
就職留年に比べて学費がかからない
就職浪人をしているということは、就職留年とは違い、大学を卒業しているということになります。
つまり就職留年をしている人に比べて、1年分の学費が浮くことになるのです。
奨学金を借りている学生や、金銭面で厳しい学生にとっては嬉しいポイントですよね。
しかしデメリットとして大学の設備を利用できないといったリスクもあるので、就職留年すべきか就浪をすべきかの判断は慎重に行いましょう。
就職浪人のデメリットとは?
就職浪人とは、そもそもデメリットの方が大きい選択です。
しかし就職浪人のデメリットをしっかりと理解することは、今後の就職浪人生活をどのように過ごせばいいかのヒントにもなります。
また、まだ就職浪人をするか就活留年をするかで迷っている人は、いかに就職浪人が厳しい選択であるかをしっかりと理解するチャンスです。
自身の今後の考える上で大切な情報となっておりますので、ぜひ最後まで目を通していってください。
既卒になり新卒扱いされない
就職浪人する人が就職留年する人より少ない理由の1つとして、既卒扱いによるデメリットがあると考えられます。
今の日本社会では新卒一括採用という雇用慣行が広く定着しており、既卒(第二新卒)の募集はどうしても少なくなってしまうという現実があります。
また、第二新卒の場合は通常の中途採用の転職者のように知識や経験を強くアピールできるわけでもないので、就活市場では厳しい戦いを強いられることになるのです。
大学施設が利用できない
就職浪人をしたということは大学を卒業したということ、つまり大学の設備を一切使用できなくなってしまうということになります。
大学にはキャリアセンターや就活掲示板など、様々な就活支援のサービスが揃っているため、これらが使えないということは大きなデメリットです。
もちろん面接練習やES作成は自力でやる必要が出てきますし、大学に寄せられる企業推薦も受けることが出来なくなります。
常に新鮮な情報が必要とされる就活を自力で乗り切るということは、相当な覚悟が必要です。
しかしこのようなデメリットについては、就活塾などの就活支援サービスを活用すれば避けることも可能となります。
⇒【徹底解説】 最近はやりの就職予備校とは?
想像以上に辛い
就職浪人をすることの最大のデメリットは精神的な負担がとても大きく、想像以上に辛いことです。
就職浪人の場合は大学というコミュニティを離れることになるのでキャリアセンターなどを活用することは基本的にできません。
また、一緒に就活をする友達もほとんどいなくなってしまうので、周囲に頼れる人がいないと精神的に孤立してしまう危険性が非常に高いです。
就活はメンタル的にしんどくなることも多々ありますし、どのような形でもよいので相談できる人を作っておくことをおすすめします。
就職浪人しないために気を付けるべきこととは?
就職浪人のメリット・デメリットを踏まえて言えることは「就職浪人はやめとけ」です。
そこで、ここでは就職浪人をしないためにすべきこととは何かを解説していきます。
1年目でしっかりと内定を取るために参考にしてみてください。
根拠のない自信は持たない
大して対策や準備をしていないのに「まあなんとかなるだろう」といった自信を持つのは非常に危険です。
根拠のない自信を持ってしまうのは自分を客観視できていないということを意味します。
就活では他者からの評価が全てですので、自分を客観的に分析し、相手にどう映っているかということを考えられなければ選考を突破するのは難しいです。
本当の自信は努力や結果が伴って初めて身につくものです。
まずは行動するところから始め、しっかり選考対策をして本当の自信を身につけてから選考に挑みましょう。
自己分析や企業研究などの基本的な就活対策を徹底する
受験勉強と同じように、就活においても準備と対策が結果に直接結びつきます。
そのため自己分析や企業研究を深めれば深めるほど就活を有利に進めることができますし、そうすることで自ずと内定ももらえるようにもなります。
学歴や地頭の良さは今更変えることは出来ませんが、企業研究や面接対策、ES作成などはいくらでも磨きをかけることが可能です。
努力で補える要素は、後悔の残らないようしっかりと徹底しておきましょう。
独りよがりな就活はしない
「私なら自力で就活できる」
そう思ってしまうことは、大きな罠です。
ひとりで行う就活には様々なリスクが存在します。
例を挙げると
- 得られる就活情報が少ない・偏っている
- 一緒に頑張る仲間がいないのでモチベーション維持が難しい
- 客観的な視点から自分を見つめなおすことが出来ない
など様々です。
独りよがりな就活をしないためには、しっかりと周りの就活支援サービスを活用し、就活仲間と切磋琢磨することが重要です。
大手企業ばかりでなく滑り止めも受ける
これも就活生の陥りやすい失敗なのですが、人気企業や大手企業しか受けずに玉砕してしまうという話は非常に多いです。
本命が大手企業であることは全く悪いことではないのですが、そこに至るまでの戦略をもっと考える必要があります。
そこでぜひやっていただきたいのが「わらしべ長者戦略」です。
これは大手企業に一発勝負をかけるのではなく、早い段階で中小・ベンチャー企業から内定を獲得し、その後に中堅企業、大手企業と順に選考を受けていくという戦略です。
このように就活を進めていくと本命の企業を受ける前に面接やGDに慣れることができ、その都度、自分の弱点や改善点を見つけて修正していくことも可能です。
また、内定を1つでも獲得できれば精神的な余裕ができ、その後の就活にも前向きに取り組むことができます。
以上のような理由から、中小企業から着実に選考を受けていくことをおすすめします。
休学して留年をする
就職浪人は既卒扱いになることによって就職活動で不自由な思いをすることも多いですが、就職留年の場合は少し事情が違ってきます。
就職留年の場合は新卒としてもう1度就活ができるため、就活浪人より応募できる企業の数も多く就活も進めやすいと言えるでしょう。
学費や休学費さえ支払えるのであれば、就職浪人ではなく就職留年を選択した方が圧倒的にメリットが大きいです。
特に休学の場合は費用を抑えられることも多いので、1度大学の事務所と掛け合ってみるなどして最善の方法を探してみてください。
まとめ
いかがだったでしょうか。
就職浪人とは何なのか、メリットデメリットは何なのかを詳しくお伝え出来たと思います。
就活はこれまでの人生を振り返り、社会人としてのキャリアをスタートさせる大切なタイミングです。
自分の選んだ道を後悔しないためにも、今後どのように生きていきたいのか、本当にやりたいことは何なのかじっくり考えることが大切です。
後で振り返った時に、あの時もう一度就活をやり直して良かったと思えるよう、準備や対策はすべてやり切って選考に臨んでください。
特に、面接で「なんで就職浪人(留年)したの?」と聞かれたときに適切に対処できるようにすることは最も大切ですので、じっくり回答を考え、何度も繰り返し練習しておきましょう。
就職浪人や就職留年をするとネガティブになってしまいメンタルを病んでしまうことも多くあるかと思います。
自分1人で抱え込み過ぎず、周囲の人に相談したり定期的に息抜きするなど、メンタルのケアは怠らないようにしましょう。
就活でメンタルがボロボロに崩壊した時の対処法は以下の記事にまとめているので、よかったらご覧になってください↓
就活でメンタルがボロボロに崩壊した時の対処法
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